2019年02月25日 設計事務所 国立代々木競技場について
国立代々木競技場は、1964年の東京オリンピックの際、水泳、バスケットボールの競技会場として建設されました。
その後も様々なスポーツ競技やイベントの会場として活用され続けており、また前回から半世紀以上を経た2020年の東京オリンピック・パラリンピックにおいても、ハンドボールなどの競技会場として使用される予定となっています。
今回は、建築物の最高傑作の一つとして高く評価され続けている、国立代々木競技場、特に第一体育館についてご紹介します。
1)代々木競技場の概要
第一体育館、第二体育館、付属施設などからなります。
(1)面積
- 第一体育館床面積:28,705㎡
- 第二体育館床面積:5,644㎡
(2)構造・規模
- 第一体育館:鉄筋コンクリート造・一部鉄骨造、地上2階・地下2階
- 第二体育館:鉄筋コンクリート造・一部鉄骨造、地上1階・地下1階
2)第一体育館の特徴
(1)平面計画
来館者にエントランスの場所をわかりやすく伝え、同時に、大人数観客の入退館をスムーズに行える「二つ巴」型のプランが採用されています。
(2)断面計画
来館者エントランスは1階レベル、アリーナは地下2階レベルにあり、来館者は入館後スムーズに上下のスタンドに到着できます。
また、アリーナ上部には大きな越屋根があり、ルーバー越しにアリーナの採光を確保しています(現在は人工照明)。
(3)構造
無柱の大空間を実現する方法として、プラン両端の二本の主塔間にケーブルを渡し、そこから屋根を架け渡す吊屋根構造が採用されています。
(4)意匠
吊構造や二つ巴型平面から生まれる優美な屋根曲面、社寺建築の大棟を思わせるボリューム感のある越屋根、シンボリックな二つの主塔、深い陰影をつくるエントランスの大きな軒や上部スタンドの跳ね出しなど、ダイナミックかつ日本的な雰囲気を感じさせる外観として知られます。
(5)ランドスケープ
第一体育館と第二体育館は、両者のエントランスホールが向かい合うよう美しく配置された上、両者の間を貫くように長い外部プロムナードが設けられています。
プロムナードは、各体育館のエントランスと同じ1階レベルで、第一、第二体育館以外の諸機能はプロムナードの下、つまり地下階に設けられています。
シンボリックな両体育館が引き立つ、伸びやかで整然とした風景を形成しています。
以上、国立代々木競技場について概要をご紹介しました。
現在、代々木競技場はオリンピック・パラリンピックに向け、耐震改修を中心とした改修工事が着々と進められています。
完成の際には、あらためて訪れてみてはいかがでしょうか。
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