2018年10月18日 設計事務所 諸元表の活用-2
設計条件を洗い出す際の一つのツールとして、諸元表があります。
前回ご紹介しましたように、諸元表は一般的に、設計者側がフォーマットを準備し、発注者側が記入することで、整備してゆきます。
今回は、諸元表に記入されるべき具体的な内容についてご紹介します。
1)一般事項
対象室の基本情報を表示します。
室名、面積、室用途、利用人数、同タイプの室の数などのほか、配置属性が記入されていると有用です。
配置属性とは、大まかな配置条件(例えば「接地階が望ましい」など)や、他室との関係性(例えば「B室と隣接すること」など)といった事柄です。
これにより、設計者は室の使い勝手が把握でき、プランを検討しやすくなります。
2)建築関連
天井高、床荷重、防音・遮音性能、遮光設備の要否、特別な内装の指定、フリーアクセスフロアの要否などです。
3)電気設備関連
使用電源の種類、必要な照度、コンセント数、電話回線やデータ回線の要否や回線数、TV共調設備やインターホンの要否などです。
また、室内で使用する電化製品の概要リスト(種類と消費電力)を記入いただくことにより、電気容量を検討しやすくなります。
4)機械設備関連
空調換気設備の仕様(例えば個別運転の要否や、室内温湿度域の指定など)、室内水廻りの要否などです。
記入者である発注者が、図らずもオーバースペックに指定してしまいがちな項目であり、記入前に十分な説明と注意喚起をすることが望ましいです。
5)特殊な施設
上述の各項目は、一般的な建築物をイメージしたものですが、研究施設や生産施設などでは、特殊な事柄が多く、場合によっては、諸元表フォーマット作成の段階から、どのような項目を入れるべきか、発注者側と協議する必要があります。
例えば、電磁波シールド、防振設備、クリーンルーム、防爆対応、恒温恒湿空調、特殊消火、試験用または工程用給排水などを、要求に応じて整備するための諸情報です。
6)概略レイアウト
各室の諸元表とセットで、室内の概略レイアウトを発注者から提供いただけると、設計者にとっては検討の助けになります。
例えば、室の縦横比のイメージや、什器の大まかな配置などです。
しかし、概略レイアウト図の作成は、たとえ手書きスケッチ程度であるとしても、発注者には負担であることが多く、特に必要なければ省略してよいと思われます。
一方、研究施設や生産施設などの特殊な施設では、提供していただくことが必要な場合が多いです。
概略レイアウトの作成は、ある程度プランがまとまり、各室の概略サイズが決まった段階後でもよいと考えられます。
以上、諸元表について詳しくご紹介しました。
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施設の建築をお考えの際、ぜひご活用ください。
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