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2018年10月22日 設計事務所 設計・施工の分離発注方式と一括発注方式

新国立競技場の工事が着々と進んでいます。

この施設の建築業者を選定する公募型プロポーザルでは、いわゆる「デザインビルド方式」が採用されたことが話題となりました。

 

公共工事ではこれまで、設計と施工はそれぞれ別の業者に発注されることが原則でしたが、昨今では、設計・施工を一括で発注する方式もプロジェクトによっては検討・採用されることがあります。

 

今回は、設計・施工の分離発注方式と一括発注方式ついてご紹介します。

 

 

1)設計・施工の分離発注方式

 

設計と施工を別の主体(業者等)に発注する方式です。

公共工事においては、昭和34年の建設省事務次官通達により「設計施工分離の原則」が明確化されており、これまで、設計業務を行うものは施工を受注できないのが原則でした。

 

 

(1)分離発注方式のメリット

 

施工業者が、設計に関与しないことにより、工事目的物の品質や性能、コストについて、より適切な、または客観的な管理が可能となるとされています。

 

また、施工業者間の競争を通して、工事価格の低減を図ることが可能となります。

 

 

(2)分離発注方式のデメリット

 

施工業者に蓄積されている技術やノウハウを設計段階で、活用することができません。

よって、設計で採用した工法の適切性、工期の予測、コストの予測などが、十分な水準に至らない可能性があります。

 

 

2)設計・施工の一括発注方式

 

設計と施工を同一の主体等にまとめて発注する方式です。

民間工事では、ゼネコンに設計施工を発注するという方法で、これまでもよく採用されています。(一括発注方式と区別して、一貫方式と称される場合もあります。)

公共工事では、設計者と施工業者がグループやJVを結成する方法などが採用されています。

 

なお、「デザインビルド」という言葉は、狭義、広義、国内、国外など、使用される状況により、様々な意味合いで用いられているようですが、国内では広義に、設計・施工一括発注方式を指して用いられることが多いと感じられます。

 

 

(1)一括発注方式のメリット

 

施工業者の技術やノウハウを設計段階で活用することが可能となるので、独自のノウハウによる品質向上、より正確なコスト・工期の予想やその低減が、図れる可能性があります。

 

また、窓口が一本化されることにより、工事目的物や工事そのものに対する責任も一本化されます。

 

 

(2)一括発注方式のデメリット

 

設計・施工分離発注方式に比べ、施工業者側の諸事情を反映した設計内容となりやすく、発注者側の関与が働きにくい可能性があります。

 

また、プロジェクトの初期段階で、設計条件や受発注者間の責任分担が明確にされないまま設計施工業者に託されてしまう場合があり(いわゆる「丸投げ」)、工事段階でトラブルにつながる可能性があります(たとえば、必要な追加工事に対する負担の問題など)。

 

以上、設計・施工の分離発注方式と一括発注方式ついてご紹介しました。

実務において参考になる部分がございましたら、ぜひご活用ください。

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