2018年10月15日 設計事務所 諸元表の活用-1
設計条件を洗い出す際の一つのツールとして、「諸元表」があります。
今回は、設計における諸元表の活用についてご紹介します。
1)建築設計における諸元表とは
一般的に、設計対象の建物に含まれる各々の室に必要な、建築的、設備的スペックをまとめた表を指します。
各室諸元表、諸室諸元表など呼ばれることもあります。
戸建住宅の規模であればヒアリングで済む場合もありますが、少し規模が大きくなり、室の種類が増えると、諸元表で各室のスペックを管理する必要が出てきます。
諸元表は、大きくわけて2種類の情報を設計者にもたらせます。
一つは、上述の、各室に必要なスペックです。
もう一つは、そもそもどのような室やスペースが、どれだけ必要かということです。
総じて、諸元表は、建物内部の使い勝手に関する与件を総合したものと言えます。
2)諸元表の整備方法
(1)諸元表の整備時期
諸元表は設計に必要な基本情報であり、基本計画段階、または、基本設計の初期段階で整備が必要です。
諸元表により、必要な室やその面積、建物内の配置の属性などが明らかになり、プランへの着手が可能になります。
(2)諸元表の担い手と整備手法
諸元表は、基本的に発注者による「与件」の性格をもつものですので、発注者側の参加が必要です。
一般的には、諸元表のフォーマットや記入マニュアルを設計者(または基本計画策定者)側が用意し、発注者側に記入いただきます。
室数が多く、また、室用途が多様であるほど、発注者側の負担が大きくなりますが、与件を正しく共有するため、ぜひとも協力いただく必要があります。
一方、設計者側は、スムーズに記入作業を行えるようフォーマットを工夫し、また、わかりやすい記入マニュアルを用意することで、発注者側の負担軽減に貢献することができます。
電源の種類など、単純な項目を選択式にするなどはその一例です。
(3)諸元表の更新
設計が進むに従い、使い勝手や予算の関係から、室のスペックが見直される、室数自体が合理化される、などの調整が生じます。
必要に応じて、諸元表を更新する必要があります。
3)諸元表整備の際の注意点
発注者側に諸元表を記入協力いただく際、各室のスペックがオーバー気味に要求される傾向があります。
このような場合、一旦記入いただいた各室のスペックに対して、発注者側と見直しを協議する必要があります。
頻繁に起こりうる事象であり、設計者側としては以下の点に気をつけることで、余計なトラブルを回避することができます。
まず、最初の諸元表整備の際、記入いただいたものがすべて実現できるとは限らない旨を必ず伝えておきます。
つまり、初期時点での諸元表は、「与件」ではありません。
その後の諸検討により、最終更新されたものが「与件」となります。
次に、不必要にオーバースペックな要求を記入されてしまわないよう、事前対策をしておきます。
記入マニュアルに、一般的な室の標準仕様を示しておくことはその一例です。
以上、諸元表の活用についてご紹介しました。
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施設の建築をお考えの際、ぜひご活用ください。
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