2017年02月17日 設計事務所 【実施設計】伝わる実施図面を描くコツNO.3
実施設計を施工者へ正確に伝えるには、きちんと伝わる実施図面を作成することが大切です。今回は、「展開図」、「天井伏図」に関して、伝わる実施図面を描くためのコツを詳しくお伝えしていきます。
1) 展開図
展開図は、内部空間の壁面を図面化したものです。内部空間の形状、仕上げ、高さの情報を伝えます。単に壁面の仕上げを見せるだけにとどまらず、壁面のエッジラインが、他の部位・部材とどう取り合っているかを明確にしていきます。
(1) すべての部屋や部位を展開図におこします
建物形状が矩形であれば、展開図は4枚で足りますが、細長い形状や小壁がある場合などは、それらを網羅するために追加の図面が必要となります。
(2) 展開図はできるだけ繋げて描きます
取り合いの情報を確実に伝えるためには、展開図はできるだけ切らないで、繋げて描くことが大切です。部屋や部位同士のつながり方や、関わり方が、格段に分かりやすくなります。
(3) 仕上げを記入します
内部仕上表にも仕上げを記入しておりますが、展開図に仕上げを描いておくと、別紙の内部仕上表を度々確認する必要がなくなり、施工者にとっては便利になります。
(4) 家具詳細図につながる描き方をします
造作家具に関しては、大まかな仕様や、家具詳細図に導くために必要な寸法を描くことで、伝わりやすい図面になります。これは、図面を見る側だけでなく、描く側にとっても、後で家具詳細図を作成する際にとても参考になります。
(5) 設備工事に参考になる図を入れます
照明やコンセント、スイッチの位置、また、天井裏、床下の構造部材の断面情報は、配管ルートなどを検討するのに役に立ちますのでおすすめです。
2) 天井伏図
天井伏図は、天井面の見えがかりを見下ろした状態に描き出した意匠図の一つです。見えがかりの仕上げを見せるという意味では、役割的には展開図に近いです。天井や軒裏の仕上げ、割付、目地も表現し、仕上げに関する情報を集約します。
(1) 設備図との連動を図ります
照明器具や空調設備機器の種類も描き入れ、室ごとに天井高さを示します。
(2) 線を描き込みすぎないようにします
余計な線が入ると見づらくなりますので、天井の枠より内側のみ、柱は目安程度、外壁の構成などの線は省略すると伝わりやすくなります。
基本的に、展開図、天井伏図ともに、見えがかりを描く意匠図です。上記の実施図面作成のコツを実践していただくことにより、きちんと伝わる「施工者へのツール」としてご活用いただければと思います。