2019年01月07日 設計事務所 無窓居室による制限
前回は、「政令で定める窓その他の開口部を有しない居室」つまり「無窓居室」の概要についてご紹介しました。
今回は建築物に無窓居室がある場合、どのような制限が課せられるか、概説します。
1)法第35条「避難」関連の無窓居室
ある居室が、建築基準法施行令(以下「令」)第116条の2に規定されている開口部を有しない場合、以下のような制限が適用されます。
(1)非常用照明
居室にある開口部の面積の合計が、その居室の床面積の20分の1未満の場合、原則として、その居室およびその居室から地上に通ずる廊下や階段などに非常用照明を設置する必要があります。
面積にカウントできる開口部は、採光計算上有効な部分に限ります。
(2)排煙
居室にある開口部の開放できる部分の面積の合計が、その居室の床面積の50分の1未満の場合、原則として、その居室に排煙設備を設置する必要があります。
面積にカウントできる開口部の開放できる部分は、天井から下方80センチメートル以内の部分に限ります。
(3)直通階段への歩行距離
居室にある開口部(採光計算上有効な部分)の面積の合計が、その居室の床面積の20分の1未満の場合、原則として、直通階段への歩行距離を、30m以下にする必要があります。
2)法第35条の2「内装制限」関連の無窓居室
令第128条の3の2に規定されている開口部を有しない居室の場合、つまり、
床面積が50平方メートルを超える居室で、窓その他の開口部の開放できる部分(天井から下方80センチメートル以内)の面積の合計が、その居室の床面積の50分の1未満であるなどの場合、
原則として、その居室およびその居室から地上に通ずる廊下や階段などに内装制限がかかります。
3)法第35条の3「無窓居室の主要構造部」関連の無窓居室
ある居室が、令第111条に規定されている開口部を有しない場合、つまり、
開口部(採光計算上有効な部分)の面積の合計が、その居室の床面積の20分の1以上であるか、
直接外気に接する避難上有効な構造のもので、かつ、その大きさが直径1メートル以上の円が内接することができるもの又はその幅及び高さが、それぞれ、75センチメートル以上及び1.2メートル以上の開口があるか
のいずれかでない場合、原則として、居室を区画する主要構造部を耐火構造、または不燃材料とする必要があります。
以上、無窓居室関連の制限についてご紹介しました。
実務において参考になる部分がございましたら、ぜひご活用ください。