2018年11月14日 設計事務所 石張りの工法
今回は、おもに鉄筋コンクリート造の壁を例として、石張り仕上とする場合の工法についてご紹介します。
1)乾式工法
アンカー等で躯体に取り付けた金物(ファスナーと呼ばれます)により、石材を固定する工法です。
モルタルの接着性に頼る従来工法(湿式工法)と比べ、経年劣化による剥離や、地震による破損などに対して有利で、施工性も優れています。
現在では、多くの石張り外装の現場で、この工法が採用されています。
躯体と石裏面の間隔は70mm程度、石材厚さは25mmから30mm程度が一般的ですので(国土交通省の標準仕様書では外壁30mm以上、内壁25mm以上となっています)、いわゆる仕上厚を100mm程度見込む必要があります。
地震時、石材が微小に回転することで、躯体の動きに追従し、耐震性を確保する工法なので、石材の動きを許容する目地巾が必要です。また目地は、ファスナーと石材の納まりの面からも必要です。
石材が動くことを前提としているため、目地材はモルタル等でなくシール材が望ましいとことになりますが、意匠的な理由から、あえて目地材を詰めないでフィニッシュとする例も見かけます。
2)湿式工法
石材をモルタル(裏込めモルタルと呼ばれます)で躯体に張り付ける伝統的な工法です。
石材と躯体の隙間にモルタルを充填した全トロ工法と、水平目地部分にのみ詰めた帯トロ工法があります。
外装壁では上述の乾式工法が主流ですので、あまり使用されず、内装壁でも例えば薄手の石の乱張りのような場合を除き採用されることは少なくなってきています。
国土交通省の標準仕様書では、外壁のうち1階の腰壁または根石(最下段の石)部分などに限り適用することが前提となっています。
3)空積工法
躯体と石材を、3から4mm径程度のステンレス丸鋼材など(引き金物と呼ばれます)を使って緊結した上、引き金物の周囲のみモルタルをつめて固定する工法です。乾式工法の一種と言えます。
強度などの面で乾式工法ほど優れているとは言えませんが、コスト面で有利であるので、高さ4m以下の内装壁などで頻繁に採用されます。
また乾式工法と異なり、納まり上眠り目地にできる点も、採用理由の一つです。(耐震上は、目地を取った方が有利です。)
4)接着工法
薄い石材をエポキシ系接着剤等で貼り付ける工法です。ボードや合板下地内装壁を石で仕上げたい場合などに採用します。
以上、石張りの工法についてご紹介しました。
実務において参考になる部分がございましたら、ぜひご活用ください。
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