2017年03月21日 設計事務所 【実施図面】伝わる「設備図」を描くコツNO.2
前回は設備図の中でも電気設備図を取り上げましたが、今回は給排水衛生設備図に関して、施工者に「伝わる図面の描き方のコツ」を詳しくお伝え致します。
1) 給排水衛生設備図
給排水設備業者が必要な内容を網羅する必要があります。つまり、給水・給湯・排水・ガスの情報が含まれます。作図の前に建築主の要望を確認して、設備機器の機種・数量を検討し、ある程度決定した上で作図に入ります。
(1) 屋外配管の作図は早めにします
屋外配管は地業・基礎工事の段階で関わるため、着工前に桝や配管の位置を決めておく必要があります。尚、配管の径は、実径ではなく呼称で図示すると伝わりやすいです。
べた基礎の場合、横引き配管が耐圧盤に埋め込まれたり、耐圧盤の下に配管されたりすることがないよう、ベタ基礎の立ち上がり部分から外部へ直接出す必要があります。
(2) 平面図のキープランはできるだけシンプルにします
設備機器の位置や配線・配管を示すキープランは、平面図を下地にして描いていきます。平面図とのリンクが張れる CADの場合は、自動的に最新の平面図を下敷きにすることができるのでおすすめです。
また、下図は極細の線とし、通り芯や寸法などを省略し、キープランとして最低限の情報にすると、配管の線が際立ち、分かりやすい図面になります。
(3) 配管の線の表現を工夫します
各種配管の描き分けは、線種などのわずかな違いで表現するため、できるだけ交差させないようにします。やむなく交差させるときは、排水配管を実線で表現し、給水・給湯配管の方を渡る表現にします。
(4) 排水配管の防音を考えます
排水の音が気になるかどうかは、住環境や個人の感覚差によりますが、竣工後に防音工事をすると多額の費用がかかりますので、2階排水配管は防音排水管を標準としておくとトラブルを未然に防ぐことができます。
2) 給排水衛生設備図のチェック項目
図面の抜けがないようにチェックする項目は、量水計、給水ルート、ヘッダー位置(給水・給湯)、給水・給湯箇所、排水箇所、排水ルート、汚水桝・雨水桝、ガス設備(オール電化の場合は不要)です。これらをチェックして、施工者に伝わる分かりやすい図面を描きます。
以上、給排水衛生設備図に関して、施工者に「伝わる図面の描き方のコツ」をご紹介いたしました。ぜひ、実務においてご活用いただき、施工者とのコミュニケーションにお役立てください。