10月末に京都へ日帰りで行ってきました。

京セラ美術館をメインに見に行きましたが、その前後も含めて紹介します。

 

南禅寺

 


京都市営地下鉄の蹴上駅を出て、まずは南禅寺へ向かいます。

正面に見えるのは『ねじりまんぼ』というトンネルです。

 

 
立て看板を読むと、「『まんぼ』はトンネルを意味する古い言葉」で、「トンネルの上部に敷設された、台車に載った船が行き交うインクラインの重さに耐えられるように」斜めに作られているとのことです。

インクラインとは、琵琶湖疏水で運行されていた船を、高低差の大きい区間のみ台車で運ぶものだそうです。

線路跡が残っていて、今回は紹介しませんが桜の名所としても有名です。

その下をくぐって、近道して南禅寺へ向かいます。

 


ちなみに今回の旅程はこんな感じ。

 


南禅寺の中門の横へ出ます。

そして境内へ。

 


 

 
 


三門。

こちらは上部に上がれます。

 


 


東側の法堂への景色。

 


 

 


南禅寺と言えばこちら。

琵琶湖疏水の水道橋。

 


 


 

 
 


木漏れ日と水の流れる音の優しさで、癒されます。

 


楓が紅葉し始めていました。

秋ですね。

 

京都市京セラ美術館

南禅寺をあとにして、京セラ美術館へ向かいます。

 


その道中。

インクラインの終わり。

ここで疏水が合流して、川のような幅になって流れていきます。

 


 


京セラ美術館の敷地は、疏水の流れる仁王門通りと平安神宮の参道である神宮道に面しています。

写真左側、樹木に隠れて見えにくいですが、美術館があります。

今回この美術館の立地を考えて、南禅寺から疏水を見ながら歩いてきて、美術館を訪れ、

平安神宮へ抜けていくルートとしました。

 


 


 


鳥居と美術館。

北側から。

 


美術館正面。

京都市京セラ美術館(旧称:京都市美術館)は、今年5月にリニューアルオープンしたばかり。

その改修工事の設計は青木淳・西澤徹夫設計共同体が行いました。

 

昭和8年につくられた鉄骨鉄筋コンクリート造2階建てで、和洋折衷のファサードが特徴的な帝冠様式の建築。

その足元に地下階を設け、前面の緩やかなスロープと階段からアプローチする構成となっています。

 


地下階の受付でチケットを購入し、1・2階吹抜けの中央ホールへと向かいます。

見上げながら入っていくため、より一層「吹抜け」の大きさが強調され、展示室へと向かう前の高揚感が演出されています。

 

 
 


ところどころで曲線が用いられていて、かっこよさだけでなく、温かみも感じるホール。

 

 

 

 


さて、今回の目的はこちらの展覧会。

 


 

 
こちらのホワイエ、屋根がかけられていますが、改修前後の模型を見ると、もともとは中庭(屋外)だったようです。

 

『京都の美術 250年の夢 第1部~第3部 総集編』

京都の美術 250年の夢 第1部~第3部 総集編



この後見た展覧会の内容ですが、日本画~現代アートまで京都出身の芸術家たちの作品が展示されていて圧巻でした。

特に印象に残ったのは、呉春の『白梅図屏風』と名和晃平の『PIXCELL-DEER』。

 

後者は前々から雑誌などに掲載されているのを見て水晶玉で鹿をどうやって構成しているのか気になっていたので、予期せず現物に出会えてテンションが上がっていました。

 

(名和晃平HP

http://kohei-nawa.net/works/pixcell

 

一方で前者は展示室で対面したとき、絵に吸い込まれそうな印象を受けました。

「屏風」というキャンパスの大きさもあるでしょうが、画面全体が少し暗く余白も多い中で小さな梅が力強く咲いている様を見て、何故か泣きそうになるのでした。

私は学生時代、京都に住んでいたのですが、そのころには全くわからなかった、「侘び寂び」とう概念が年を重ねるにつれてわかり始めた気がします。

 

(文化遺産オンラインHP 絹本墨画淡彩白梅図〈呉春筆/六曲屏風〉

https://bunka.nii.ac.jp/heritages/heritagebig/180162/1/1

 

 

 

 


 


さて、展覧会を見終えて東側の日本庭園へ。

 


 


 


こちらは杉本博司の『硝子の茶室 聞鳥庵』。

庭園の中央に配置されています。

看板を読むと、聞鳥庵はモンドリアンと読むらしく、作品を作り上げたときに「モンドリアンの絵画の構成と呼応していることに驚きを覚え」、名付けたそうです。

そう言われると確かに、透明のガラスの箱に配置された建具は、モンドリアンのコンポジションのようにシンプルで力強い構成を見出せます。

何だかブルーノ・タウトが桂離宮からモダニズムを見出したことと近しいものを感じました。

 

平安神宮

 


岡崎公園を通って平安神宮へ。

この日は「岡崎ワンダーマーケット2020」の開催日でした。

調べると毎年、糺(ただす)の森(下鴨神社の南、鴨川デルタ付近)でのイベントが今年は会場を変えて行われていたそう。

屋台のソースものやカレーの香りに食欲をそそられましたが、それはあとにして真っ直ぐ通り抜けます。

 


平安神宮境内。

広々としています。

 


神社の手水舎はコロナ対策、衛生面の観点からか、水が止まっておりました。

ちなみに御朱印もいただいたのですが、そちらもコロナ対策で、その場で書いていただくことはなく、すでに書かれた半紙をいただく方式でした。

「ああ、こんなところまで…」と少し寂しい感じ…。

 

 

 

 


お参りしてから、外側の神苑へ。

 

 
 

 
 

 
 

 


 


天気が非常に良く、写真の撮りがいがありました。

特にこちらの東神苑の橋殿が琴線に触れました。

周囲の自然とともに水面に映り込みつつ、一段上に設けられた屋根が雄大さを感じさせます。

(どうやら私は水面と空という構成に弱いですね…。)

 

帰り道

 

 
 


出店でたこ焼きを買いました。

(歩き疲れてお腹が空いていたため、熱いことをわかりつつほおばった結果、無事に口の中を火傷いたしました…。

でも美味しかったので後悔はしていません!)

 


 


途中の細見美術館も立ち寄りました。

日本画のコレクションが多い美術館で、先ほどの京セラ美術館の展覧会にも伊藤若冲の作品を出しています。

 

(細見美術館HP

https://www.emuseum.or.jp

 

京都にはこういった隠れ家的なスポットも多いようで、まだまだ探検しきれていないなと思います。

そういった場所をまとめて、またどこかの機会でご紹介できればと思います。

 

 

 

 


夕暮れ時の鴨川。

 


地下鉄に乗って移動し、最後は京都駅から帰ります。

京都駅は原広司の設計。

 

 
さて京都の旅、いかがでしたでしょうか。

今まさに紅葉の季節ですので、ぜひぜひ皆様も散歩してみてください。

私も暇を見つけては探検したいと思います。

 

京都市京セラ美術館の『京都の美術 250年の夢 第1部~第3部 総集編』は12月6日まで。

細見美術館の『細見コレクション 淋派と若冲』は12月20日までです。

 

※写真は全て筆者撮影

※設計者などの人名は敬称略